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オートクレーブ 予熱の有効性

滅菌コンテナーiConを長くお使いいただくために、オートクレーブの予熱工程を追加することは有効です。



多量のドレインの弊害

オートクレーブは滅菌前のプレバキューム工程で、真空(空気排除)ー給蒸(加圧)を繰り返して、空気を十分排除してから滅菌工程に進みます。
通常、滅菌コンテナーiConのステンレスフィルターは通気性が良く、蒸気はスムースに流入します。
しかし発生するドレイン量があまりに多い場合、
↓フィルターが濡れる
↓フィルターの通気性が低下する
↓真空後の給蒸の際に蒸気がスムースに入らない
↓コンテナーの中は真空・外は高圧となる
↓フタが押し込まれるような状態になり、負荷がかかる
押し込まれた状態は数秒で元に戻りますが、これを繰り返すと耐久性に影響があります。
逆に考えると、ドレイン量を抑えればiConの耐久性が向上します。



ドレイン量の計算式 W=K×G×ΔT

滅菌時に発生するドレイン量Wは、滅菌物の重量Gに比例し、滅菌物と蒸気の温度差ΔTにも比例します。W=K×G×ΔT(Kは比熱、潜熱を含む係数)。
ドレイン量Wを抑えるためには、次の2点が有効です。
1. 滅菌物の重量Gを少なくする。
2. 滅菌物と蒸気の温度差ΔTを小さくする。
滅菌物の量が少なければドレインも少ないというのは、滅菌物が多いときに乾燥不良を経験された方なら「そりゃそうよね」と思われるでしょう。でも器械量の多いセットはたくさんありますよね。
そこで有効なのが滅菌物と蒸気の温度差を小さくすることです。蒸気の温度はほぼ変わりませんから、温度差を小さくするには滅菌物の温度を上げることです。
そのためにオートクレーブの予熱工程が有効です。予熱工程は滅菌スタート後真空工程に入らず、設定時間分何も作動しないだけなのですが、高温の滅菌器缶内壁からの輻射熱で滅菌物の温度が上昇します。
説明のために簡単化すると.....
25℃の滅菌物に100℃の蒸気が当たると100-25=75℃の温度差です。
仮に予熱で滅菌物の温度が50℃まで上がったとすると、100-50=50℃の温度差となります。
予熱によって温度差は50℃/75℃=2/3になりますから、発生するドレイン量も計算上2/3に抑えることができます。

 

少ない器械で予熱なし.jpeg

少ない器械で予熱なし

蒸気流入

蒸気流入

器械が少ないので
​ドレインはあまり発生しない

多い器械で予熱無し.jpeg

多い器械で予熱なし

蒸気流入

蒸気流入

器械が多く器械温度も低いので
​ドレインがたくさん発生する

フィルターが濡れて蒸気が入りに
くく圧力差でフタが押し込まれる

多い器械で予熱あり.jpeg

多い器械で予熱あり

蒸気流入

蒸気流入

器械は多いが器械温度が高いので
​ドレインはあまり発生しない




蒸気の乾き度

ところで医療現場において、「蒸気の質」というと不純物の含有がテーマになることが多いのですが、蒸気の乾き度も重要です。乾き度って何でしょう。
蒸気にもベタベタの湿り蒸気からカラカラの乾き蒸気まであり、その度合いを乾き度で表します。沸騰したやかんの口からは白い湯気(細かい水滴)が出ますが、やかんの口と湯気の間の透明な部分が飽和蒸気です。飽和蒸気は水分子の結合状態によって気相(気体の部分)と液相に分かれますが、気相の多いものを乾き度が高いといいます。
やかんの口から出た乾き度の高い飽和蒸気は外気に触れて温度が低下し、液相が増えて乾き度は低下します。その後さらに液相が増えて細かい水滴の湯気となります。
オートクレーブも供給される蒸気が配管を通る際に乾き度は低下します。乾き度が低いと水分が多いためにドレインは発生しやすく、加熱効率が低いので多くの蒸気が必要とされるのでさらにドレインが増えるという悪循環になります。
お使いの蒸気の乾き度はどうでしょうか。簡単に測定できればいいのですが、難しいようです。
乾き度を表示するメーターがあればいいのですが、測定するには測定用の配管を追加する工事が必要になるそうです。



器械セット重量は7.2kgまで

滅菌コンテナーiConの耐用年数はご使用の環境や条件で異なりますが、蒸気の乾き度が影響している可能性もあります。測定が困難なので影響しているかどうかの確認も難しいのですが、保証期間の5年は大丈夫でもその後割れが発生しやすい病院様において、オートクレーブの予熱工程を追加していただくことで改善した事例を確認しています。
オートクレーブの予熱工程を追加することはドレインの発生を抑えるのに有効ですが、「医療現場の滅菌保証のガイドライン2015」に準拠し、セットする滅菌物の重量はバスケットを含めて7.2Kgまでを目安にしてください。
弊社テストではその程度の重量なら、滅菌コンテナーiConのフタが押し込まれるような負荷はほとんどかかりませんが、病院様によって異なる蒸気の乾き度リスクを考えて、予熱工程を追加することをお勧めしています。


 

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