技術情報
ステンレスフィルター
高品位ステンレスフィルターが、優れたバクテリアバリア性で細菌の侵入を防止します。オートクレーブ、EOG、プラズマ滅菌に対応する上、5,000回滅菌してもほとんど目詰まりしない、滅菌コンテナーに適したフィルターです。
優れたバクテリアバリア性
「ISO11607-1 最終段階で滅菌される医療機器の包装-第一部:材料、無菌バリアシステム及び包装システムに関する要求事項」にも、「多孔質材料は、無菌バリアシステムの完全性及び製品の安全性を付与するために、微生物に対する適切な微生物バリア性をもたなければならない」「多孔質材料の微生物バリア特性の評価は、代表的には、試験時の吸引流量、微生物の投与量及び試験時間をあらかじめ定めた一連の試験条件の下で、細菌の胞子又は微粒子のエアロゾルで試料の微生物透気特性を求めることで実施する。これらのあらかじめ定めた試験条件における材料の微生物バリア特性は、細菌又は微粒子の透気量を投与量と比較して判定する」とされています。
滅菌コンテナーiConのフィルターは、第三者機関であるカケンテストセンターにて、バクテリアバリア性を評価しています。試験方法は以下の通りです。
黄色ブドウ球菌液の懸濁液をネプライザーでエアロゾル化し、これをアンダーセンサンプラーにより28.3L/分の流量で吸引し菌を捕集します。アンダーセンサンプラーの上にフィルターを装着し、フィルターのエアロゾルに対するフィルター効果(BFE)を次式で算出します。
BFE(%)=(C-F)/C ×100
C:フィルターを装着しないときのコロニー数
F:フィルターを装着したときのコロニー数
滅菌コンテナーiConフィルターのバクテリアバリア性はなんと97.4%、比較のために測定した他社製ペーパーフィルターの69.0%を凌駕します。
安全保存期間についてもテスト済みで、高圧蒸気滅菌後、一般事務所の保管棚で6ヶ月保存後の無菌試験を行い、iCon内で細菌の発育が認められないことを確認しています。(財団法人日本食品分析センター)
特に無菌的な空調を行わなくても、優れたバクテリアバリア性のフィルターにより、内部の器械を長期間安全に保管できます。
バクテリアバリア性
iConステンレスフィルター
97.4%
他社製ペーパーフィルター
69.0%
フィルター交換不要
ステンレス繊維が互いに絡み合い、焼結という方法で強固に固められているため、オートクレーブのような高圧下でも目開きや剥離がなく、安定したバクテリアバリア性を維持します。ステンレスの特徴である耐高温性、耐化学薬品性を備え、耐久性に優れるため、フィルターを交換せずに繰り返し滅菌することができます。
「でも繰り返し滅菌したらフィルターが目詰まりするんじゃないの?」と思われるでしょう。
そこでiConの前身SCシリーズで、医療機器を滅菌するための通常プログラムで稼働しているオートクレーブで、5年9ヶ月に及ぶ5,000回繰り返し滅菌テストを行いました。
テスト後のコンテナーは、サビ等で変色し、またフィルターのコンテナー外側にあたる面にはリネン等から出たと思われるほこりが付着しているような状態でしたが、ステンレスフィルターは高品位SUS316Lで防錆性に優れるため、サビによる変色も少なく、5,000回滅菌後の通気性低下はわずか4%しか認められませんでした。
滅菌コンテナーiConのフィルターは、面積を故意に50%塞いでも十分な滅菌有効性を維持することを確認しています。5,000回滅菌して4%しか目詰まりしないフィルターが、50%目詰まりするまでに、プラスチック本体の耐久性に問題が出る可能性の方が高いので、破損等がない限り、フィルターの交換は必要ありません。
通気性(圧力損失)
未滅菌のステンレスフィルター
100%
5,000回滅菌後のステンレスフィルター
96%
滅菌可能なフィルター面積
50%
オートクレーブ、EOG、プラズマ滅菌対応
滅菌物はその材質等によって滅菌方法が異なるので、コンテナーもそれに対応しなければいけません。iConに採用している高品位ステンレスフィルターは、ペーパーフィルターのように過酸化水素の吸着がないので、プラズマ滅菌にも対応します。もちろん、オートクレープやEOG滅菌にも対応します。
滅菌有効性については、各滅菌方法に対する生物学的インジケータのテストパックをiCon内で滅菌後、インジケータが陰性であることを確認しています。(財団法人 日本食品分析センター)
用いたテストパックは、滅菌器のPQ(稼働性能適格性確認)に用いられる以下のものです。
蒸気滅菌:1296アテスト生物学的インジケータスチームパック
EOG滅菌:1298アテスト生物学的インジケータEOパック
プラズマ滅菌:ステラッドサイクルシュア(滅菌バッグ包装)
これらのテストパックは、何層ものペーパーや細いチューブの先端にインジケータがセットされていて、滅菌時に十分な負荷がかかるようになっています。本来はそれ単体でさらに包装することなく滅菌して、滅菌器の性能を確認するものですが、それをiCon内に入れて滅菌し、その有効性を確認しています。テストパックはiCon内に何力所もセットし、他の器械も一緒に入れてさらに負荷をかけ、すべてのインジケータが陰性であることを確認しています。
しかもそれらの滅菌有効性テストは、iConのフィルターをシリコンで半分塞いだ状態で行っています。
また、ステンレスフィルターは通気性にも優れ、滅菌コンテナーにセットした内腔のある器械に対しても十分な滅菌有効性を確認しています。確認には、内腔器材(ホロー器材)内部への蒸気浸透をシミュレーションする PCD (プロセス・チャレンジ・デバイス:工程試験用具)の欧州規格 EN867-5 規定のホロー型 PCD "Hollow load PCD”をベースにしたPCDを用いています。これは高圧蒸気滅菌において、内腔器材などの複雑な器材の内部レベルでの滅菌条件達成をモニタリングすることができるものです。このテストも重量のある器械で負荷をかけた上で、iConのフィルターをシリコンで半分塞いだ状態で行っています。